第20回「ノホホンの会」報告 2013年2月19日(水)午後3時~午後5時(会場:三鷹SOHOパイロットオフィス会議室、参加者:狸吉、山勘、恵比寿っさん、ジョンレノ・ホツマ、本屋学問) 春の雪が本会にも思わぬ影響を及ぼし、致智望さん、高幡童子さんが雪のために残念ながら欠席となり、メンバーの半数近くが揃わない寂しい会となりましたが、時間的には皆さんじっくり語り合えました。 今回も経済問題、中国の話題が中心でしたが、地震予知からカラニシコフ自動小銃の性能、弾丸のつくりかたまで、密度の濃さは普段と変わりません。 会後のオプションスケジュールとして、恵比寿っさんのオフィスを訪問しました。コンパクトな空間ですが他の部屋もほとんど満室のようで、ここから世界的な新技術が生まれることを期待しています。 六甲颪さんの「『巨人、大鵬、卵焼き』にまつわる四方山話」、致智望さんの「ぼくのオペラへの旅」は次回にお願いします。会長の六甲颪さんが早く復帰されることを願っています。 (今月の書感) 「経済学に何ができるか」(山勘)/「不況を拡大するマイナス・バブル」(ジョンレノ・ホツマ))/「「AK-47世界を変えた銃」(恵比寿っさん)/「ぼくのオペラへの旅」(致智望) (今月のネットエッセイ) 「『巨人、大鵬、卵焼き』にまつわる四方山話」(六甲颪)/「素人の経済論議は有害か」(山勘)/「国家の存続性」(本屋学問)/「地震予知はできるのか?」(狸吉) (事務局) |
書感 2013年2月分 |
経済学に何ができるか/猪木武徳(中央公論社 本体820円) 扉には、こうある。さまざまな「価値」がぶつかり合う、現代の自由社会、その結果、数々の難問が私たちの前に立ちはだかっている。金融危機、中央銀行のあり方、格差と貧困、知的独占の功罪、自由と平等のバランス、そして人間にとって正義とは、幸福とは―。本書は、経済学の基本的な論理を解説しながら、問題の本質に迫る。これが本書の主な内容だ。 |
不況を拡大するマイナス・バブル/小山和伸(晃洋書房 2012年9月発行)
現在の日本も世界の経済も、未来に明るい展望が無く、国家債務の肥大化と少子高齢化による年金システムの崩壊、環境問題の深刻化による経済発展の終焉、と言った共通した問題に直面している。未来に対するこうした悲観的な観測から、企業の投資も控えめとなり、それが雇用情勢にも悪影響を与えている。失業率の増大は、若い世代に悲観的な人生観をもたらし、ますます未来予測を悲観的にしている。
ある種の不確実性がつきまとい、不安材料ではあるが、投資家の期待を膨らませる。 自然界には存在しない一種奇形的なチューリップが愛好家ならず投資家たちの期待を膨らませ、その球根は掘り出される何カ月も前から投機の対象となり値段をつり上げていった。 リーマンショックの時もアメリカ投資銀行の上級役員などは膨大な報酬を得ており、投資銀行が倒産した後も膨大な額の退職金を受け取っていた。バブルは多くの人から見て富を失わせるものだが、一般大衆からごく少数の特定な人々へ、極端な所得の再配分を引き起こすわけである。バブル崩壊による損失は、バブル発生による利益と相殺されており、移転されているにすぎないことを知りました。 過去の事例をもとに、東日本大震災の福島原発事故以来、いわゆる風評被害のパニックは明らかにマイナス・バブルの様相を呈していると警告されています。 ①原子力や放射能汚染といった問題は、一般大衆にとって極めて不確実・不案内な事象であり、特に目に見えない放射能の健康被害に関しては、大きな不安をかき立てる要素が含まれている。
マイナス・バブルという概念を持つことで、警戒すべき実態以上の空騒ぎの本当のリスクを浮き彫りにすることができるのではないかと結んでいます。
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ぼくのオペラへの旅/黒田恭一(JTB 定価1600円)
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AK-47世界を変えた銃/ラリー・カハナー著・小林宏明訳(学習研究社 本体2,000円 2009年4月14日 第1刷発行)
著者はジャーナリスト。7カ国に翻訳された「競争優位の情報戦略-公開情報でここまで読めるライバルの経営戦略」をはじめ、「CULTS THAT KILL」など8冊の著書がある。ビジネスウイーク、ワシントンポスト、インタナショナルヘラルドトリビューン、クリスチャンサイエンスモニタ等にも寄稿している。また、CNNのラリーキングライブ、CBSのイブニングニュースなどのテレビ番組にも出演している。 訳者は1946年生まれ。明治大学英文学科卒。翻訳家、エッセイスト。アメリカのカウンター・カルチャー、ロック、ミステリー、犯罪ノンフィクションなど幅広いジャンルで翻訳を手がける。訳書は既に100冊を超え、主なものにサム・リーブス「長く冷たい秋」(ハヤカワ文庫)や「全米ライフル協会(NRA)監修 銃の基礎知識」など。著書には「図説世界の銃パーフェクトバイブル」等がある。
第1章 祖国を守る 第2章 AKとM16の対決パート1 第3章 パンドラの箱 第4章 アフリカのクレジットカード 第5章 ラテンアメリカのカラシニコフ文化 第6章 アメリカを訪れたカラシニコフと彼の銃 第7章 国連も認めた本当の大量破壊兵器 第8章 AKとM16の対決パート2 第9章 AKをもう一度売り込む エピローグ AK最後?の日 訳者あとがき
米国では銃の所有規制が長いこと叫ばれていながら、法制化の実現はこれからも遠のくような印象を受ける今日この頃ですが、もっと大掃除をしなければならないのが、世界中に散らばっているAKではないか、そんな気がしてきた1冊でした。 |
エッセイ 2013年2月分 |
「巨人、大鵬、卵焼き」にまつわる四方山話 このフレーズがとくに使われたのは、当時の読売巨人軍が多くの優秀な人材を得て力をつけて来た事であって、青田、川上、千葉から長島等若手選手の加入があり、プロ野球に対する人気は最高潮に達していた。
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素人の経済論議は有害か
ともあれ、近頃は経済や政治について、いっぱしモノを言う素人、よく言えば常識人が増えている。そうした傾向に、素人が何にでも口を出す“ツイッター時代”が拍車をかける。 ところがそうした常識人、一般人の言動が気に食わない経済学者、専門家も少なくない。近ごろ目についた強烈な主張に、日経紙1月16日「大機小機」欄の〈魔笛〉氏による「経済学の社会的認知度」がある。魔笛氏はさだめし名のあるエコノミストか経済学者であろうが、「経済学は数学や物理学と同じく、専門性の高い学問である」と主張する。 ところが、いまよく読まれている猪木武徳著「経済学に何ができるか」の主張は違う。経済問題は、純粋に経済学上の問題ではありえない。人間は経済原理だけでは行動しない。だから経済学だけでは問題は解決しない。現実の経済政策は一般人の知恵も入れて合意に達するべきだという。 |
国家の存続性
哲学者の梅原猛氏によれば、ヨーロッパの近代国家は、ヘレニズム(ギリシャ文明)とヘブライズム(ユダヤ文明)を起源としているそうだ。しかし、近代西洋文明をつくったゲルマン人、ケルト人、スラブ人は、ギリシャ人やユダヤ人と人種的なつながりはない。 |
地震予知はできるのか?
河野博士は長年国内外で活躍した専門家だけあって、地球の誕生から現在の姿に至る過程を、手に取るように解説した。地震や津波発生のメカニズムも理路整然と説明し、参加者は皆理解した様子。
①日本列島は幅数百キロメートルの地震帯の上に浮いた船のような存在。 ②地震は不連続な現象なので発生を予測する方程式が作れない。 ③偶発的な事象には確率計算を適用できない。
地震発生後の津波予報はかなり正確とのこと。しかし、予報は津波の平均高さしか報じないので、地域ごとの高さは各々独自に予測する必要がある。
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